反り腰

運動不足が気になって、ピラティスを始めた。これはジストニアのリハビリと並行して取り入れるべき、第一選択肢だったので、5年前にも一度やったことがある。三日坊主の性分のため間もなく止めてしまったのだが、今回は体重の増加に我慢が出来なくなってのことだ^^;
姿勢のチェックで先生から「反り腰ですね、それだと、腹部が前に出て、お腹が出てしまうのですよ。もっと腹部の筋肉を引き締めて、内臓を元の位置に収めたいですね」と言われた。

半年くらい前に、ピアノを弾く姿勢の改善を試みていたが、その時の先生はなぜか、反り腰について言及しなかった。お尻は落ちたが、腰は反り上がっていた。これがイケナイと知ったのは、アレクサンダーテクニーク(AT)の方面からの指摘があったから・・・腰が反っていると、足に体重をかけるのが難しい(当たり前だ) 骨盤のあたりは、ふんわり、ゆるんでいる必要がある。 

ATではピアノから椅子を出来るだけ離して、体幹から長いリーチで打鍵することを推奨している。一方で、現在師事しているピアノの先生は重さを落とすのに、鍵盤から離れない位置での前傾姿勢を勧めている。いつも「ポリーニなんてフォルテシモの時に、椅子から立ち上がってるでしょ」と仰る。どちらが自分に合っているのか、必要なのか、未だよく分からない。前方にいれば、鍵盤にのしかかることもできるし、体を反らせば腕もより自由度が高まる。一方、後方にいると下部雑音が減り、より重力も活かせる気がする。

名演を生む姿勢には2種類ある。体の構造からアプローチした無理のない自然体な姿勢と、名ピアニストに散見される、風変わりで個性的で、凄みを感じさせる演奏を可能にするもので、独特の奏法と言っても良いだろう。あらためて考えると、後者は健康や省エネといった課題を無視して、完成度の高さを追求した結果かも知れず、支障を来たした例もあると想像している。

今回のクライバーンコンクールを見ていて、アジア系の華奢なピアニストのほうが前傾し体をうねらせていると思った。お気に入りのYutongさんもそうだ。その方が楽にエネルギーを生み出したり、ピアノへ伝達できるのだろうか? ミケランジェリのような美しい姿勢よりも有効なのだろうか? (彼がプロコフィエフやバルトークを弾くのは、見たことがないが)

一つ確実に言える事は、頭が動くのは大変良いが、過多になると耳が動くので聴覚的に良くない、そして体もバランスを取りにくくなるし、手元のコントロールやリズムにも影響が出る。彼らはその特徴のメリットとデメリットを背中合わせにしつつも、見事な調整力で演奏している気もする。

小柄でひ弱な自分はどうしたら、より美しく音楽を奏で、繊細なタッチや音色のコントロールを可能にし、心身の安定を保てるのか。 姿勢は? 距離は?・・・脚、腰、腹、背中、肩、上腕、肘・・・それぞれはどうなる? 指先が不器用な分、異なるテクニックで自分をカバーしたいと模索している。


追記:
バッハでは鍵盤に近いほうが手元のコントロールがしやすく感じる一方、ショパンでは上体や腕が自由に動ける距離がある方が楽だ。音色は離れた方が音の角が削られる印象で、フレーズは滑らかで大きく感じられる。
ただし滑らかさや陰影は、曲調や好みによって異なるだろうし、納得の行く範囲を探すしかない。いずれにしても快適に弾けることが最優先だろう。


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